行ったり来たり

b0063997_1325225.jpgとんでもなく長く、それになんのオチもない話です。勇気のあるお方はどうぞ。

火曜日。
池袋で用事を済ませた後、なんとなく電車で飯田橋の神社へ行ってお参りをした。
ほかにすることもなかったので、川沿いに市ヶ谷の方へ歩いていくことにした。
市ヶ谷まで行ったら、紀尾井町あたりまでついでに歩いて、オーバカナルでお茶でもしよう。

ちょうどお昼の12時をすぎたくらいだったので、法政大学の学生が溢れ出てきて、それに逆らうように緑の土手をくぐり抜けて、向こう側に市ヶ谷の橋がみえたところで、思わず目の前にあった信号を渡ってしまい、前を歩く女子大生の後をついていく形でつい路地に入ってしまった。
女子大生の列を離れて、市ヶ谷の方に軌道修正しようと思ってはいたけれど、引き返すのが面倒だったし、好きな道の景色だったので、そのまま目的もなく角を曲がり、道を進んだ。

とにかく、大きな家ばかりが目につく。優しい優しいリズミカルで古い家もあれば、ぱりっとした神経質そうな現代建築もあり、カーポートの下には、幾台かの車が並んでいた。
道幅は程々に広く人影はまばらで、木立の間隔や高さ、葉の生い茂る量などが、なぜかわたしには少し不気味で、怖さと寂しさをない交ぜにしたみたいに、奇妙な感覚にとらわれた。
大きな会社や、フェンスに囲まれた工場、その社宅、空き地(!)を右に左に見ながら、急な坂を上ってはまたおりて、ときどき袋小路に入っては引き返した。

そうして、気づいたら、少し大きな通りに出た。「外苑東通り」と書いてある。

ここで、きちんと言っておかなくてはいけないのは、わたしが並外れた方向音痴であるということ。
地図が読めないなんてのは言うまでもなく、駅地下の構内で迷子になり、デパートでは出口を見失い、道の途中でお店に立ち寄れば来た道を引き返し、一本しかない道を逆に進み、「今どこにいるの?」と聞かれても、自分の現在地さえ説明できない。
ひょっとして都会で生き抜く資質を大きく欠いているのではないだろうか?
(でも、田舎で方向音痴だったら、果てしなくどこにもたどり着かない気がするなあ。逆方向にすすんんだら、致命的だ。まあいいや。)

ああなんとなく新宿方面に迫っているな、という予感はしたものの、これからどうしていいのか全くわからない。
わたしはただ、市ヶ谷まで行って、紀尾井町のオーバカナルでお茶が飲みたかっただけなのだ。
思い返せば、飯田橋の川沿いから出発したとき、たぶん、川の右岸と左岸をまるで逆に認識していたのだと思う。
だから、あのとき、女子大生についていってはいけなかったのだ。
大きな印刷会社も、地上220mの高さでそびえ立つあの防衛庁の通信塔も、恥ずかしながらわたしにあっては何のパス・ワードでもなく、全く指標たりえないのだ。

道路標識を頼りにおそるおそる小さな橋を渡り、さらに歩き続けて、やっと四谷三丁目の駅に出たとき、あまりの無駄歩きを実感して急激に歩く速度が落ちた。
歩き始めてもう1時間半がすぎていた。安いホット・コーヒーを飲んで、また歩く。
こうなったら半ば意地みたいなもので、どうしてもオーバカナルに行ってやろうと思った。
四谷へ向かう新宿通りは、すごく均一で無表情な通りだ。何もないというわけではないのに、それどころかかなり雑多ではあるが、一つ一つが(道も店も)混じり合いすぎて、差がないように見えるせいだ。
ただわたしの視力が悪いだけかもしれないけれど。

四谷を抜け、あと一息で紀尾井町だと思ったら、気づけば見慣れた日テレ通りだった。
嘘だ!叫びだしたかった。というかむしろ自分を呪った瞬間。
道を知らないというだけでなく、極度の勘違いのなせる技なのか?
疑うところと信じるところのバランスがとれていないようだ。(何かにつけ。)
坂道をのぼって再び新宿通りに戻り、一路オーバカナルへ!!
ぐるりと曲がった坂の下には、トリコロールの旗が風にはためいていた。
はやる心を抑えつつカフェの階段に足をかけたのは、出発から3時間後。

ハーブ・ティーを頼んだのに、ふつうの紅茶が出てきてそれに当分気づかずカップ1杯飲んだ、というのはまあいいとして、意地と根性でたどり着いたはいいけれど、このさきは?なにも決めてない。
考え事をしたり、むつみ嬢に悩み相談のメールをしたり、本を読んで少しだけ寛ぐ。

@写真は、お茶を飲んでいたらテーブルの周りに集まってきたすずめ。
 きっとパン屑が目当てなんだ。全然人間に動じない。こんな近くで!

良人から電話があり、「仕事の車を高輪に戻しにいくから、19時くらいまで待ってくれれば、拾ってあげる。それから白金あたりでおいしいごはんでも食べよう!」
白金でごはん!行く!絶対。

結局、夜ご飯は赤坂のうどんやさんだった。
良人の仕事が長引き、その合間にちょっとの時間で食べたチェーン店のあんまりおいしくないうどん。
何だこれは?なにか歯車が狂っている。

その後、ひとりで家の近くの駅まで戻ったが、家に一人でいたくない気分だったので、電車で引き返して良人の車に乗ることにした。
カレーうどんのせいでお腹もすいていないから白金でのディナーはもう無理だし(ああ「ラビラント」!)、高輪まで一緒に行ったって、電車でまた戻ってくるだけなのだけど。
うちに車がないので、わたしには夜のドライブがとても新鮮で、窓を開けると風が強く入り込み心が軽やかになったが、しかしあらゆる道を映し出したカーナビをみていると、昼間に自分の歩いた道のりがどれほど無駄だったか改めてわかった。

さて、飯田橋から紀尾井町までの迷い道、赤坂での無意味な時間つぶし、電車の往復に加え、無駄なのはこれだけではない。
品川からJRにのり、池袋を目指す。大崎で降りて湘南新宿ラインに乗り換えた。
「電車、すぐ来てよかったね」と言って、列車が走り出した瞬間、「次の停車駅は、横浜、横浜。」
えええええ?!ここまできて、こんなのって!二人で大爆笑。口を結んでもおかしくて顔がにやける。
でも、本当は、すごく傷ついたような(それに似たような)気もする。

四谷で買ったPAULのパンで、少し飲もうと思ったけど、なんだか疲れすぎて、この日以来、久しぶりにお酒を飲まずに、お風呂に入ってすぐに寝た。

目的を持たずにでかけるのは、素敵なこともあるけれど、しばしばそれ自体を楽しめないところまで消耗してしまうこともあるかもしれない。
基本的にフィーリングだけで、生きていく上での様々な選択をしているので、ちょっと反省。
「なんとなく」とか「つい」「思わず」「そんな気がする」「たぶん」そんなのばっかりだ。
もう少し、自発的に自分の頭でものを考えるということをしなくてはいけないのだ。
自然の流れにのることも大切だけれど、場合によっては自分で流れを作ることや、これ!という流れに近づく努力をすることも、もっと大切なのだと思う。
少なくとも、今のわたしにとっては。

しかし、3時間歩くと、無駄だとはいいながら、ちょっと心地のよい疲労があり、だんだんハイになってくる!
走るのは苦手だけど、歩くのは好きだ。
by azdrum | 2006-10-05 17:17 | 暮らし | Trackback | Comments(6)
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Commented by tiki-tiki2005 at 2006-10-06 12:37
ハイ、最後まで読まさせて頂きました!!

いつも電車や車で移動するところを、たま~に歩いてみると、思った以上に時間がかかって、いつまで経っても目的地につかずに、もどかしくなりますよねぇ。
そうやって考えると、坂本竜馬が日本中を徒歩で歩き回っていたこととかって、驚異的に思えますよねぇ!
Commented by 55aiai at 2006-10-06 14:27
おつかれさまでした!!!
大崎の湘南新宿ラインは危険なのです。たぶんazdrumさんみたいな方は他にもいらっしゃると思いますよ!
それにしてもずいぶん歩きましたねぇー。えらいっ!きっと健康になりましたぞ。
でもラビラントは残念でしたね~。またの機会にぜひ連れて行ってもらってくださいね^^
Commented by azdrum at 2006-10-06 15:33
>tiki-tikiさま
その勇気!ありがとうございましたー!
そうそう!昔の人たちはすごいですよね。徒歩ですよ徒歩!?
しかも、ちょっと手紙渡してまた帰るとか、これをあの人に伝えておいで、みたいなこととか、往復もざらですよね。
山道ですよ、絶対無理です!水戸黄門様の御一行もすごい。
これからどうなるんですかね。文明は。
「昔の人は、電車や車という乗り物を使って移動していました。」
みたいなことになるんでしょうか?
Commented by azdrum at 2006-10-06 15:43
>aiaiさま
危険なのですね?!ですよね?!紛らわしすぎますよね。アナウンスも聞き取りにくくって。
結構歩いたつもりなんですが、お買い物行ったりすると、みんな3時間くらい歩いたりしているんでしょうかね?
バスとかタクシーとか、地上の乗り物は結構好きなのですが、地下鉄とかJRって、乗ったり降りたりが面倒で・・・。
2、3駅くらいなら歩いた方がいいやって、よく歩いています。
aiaiさんは車をお持ちなんでしたっけ?
景色を見ながら自分で移動できるのって気持ちいいだろうなあ。

帰り道に「実は今日、ラビラントに行こうと思っとったのにー」と言われて、
聞かなければ良かった!というほど、残念でしたーー。
ふらりと行ける場所に住みたいです。涙。
Commented by ブンブン at 2006-10-16 07:48 x
ふと顔をあげると見たこともない風景が広がっている・・・私もしばしばあります。しかし、思索家は歩き回るものです。迷うものです。と、あきらめてみるのはどうでしょうか(笑)
Commented by azdrum at 2006-10-16 15:06
>ブンブンさま
ブンブンさんみたいに、良質な思索家を目指しておるのですが、
常に、まったくの、無駄な思索、思想、ひいては現実逃避の末の迷い道ゆえ、
なんかこう、自己嫌悪に近い感じで切ないなあ。
でも、あきらめてみる、っていうのは素敵です。
そして、そんなブンブンさんの迷い道も絶対素敵(おもしろい)だと思います。


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