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おー、水木さん

おー、水木さん_b0063997_0351780.jpg
8月14日

昨日と同じ一日の始まり。なんとなく、ひとりで階下に降りてみる。
玄関の脇に、扉がわずかに開いたままの部屋が。そっと覗くと、なんだか20年前にタイム・トリップした錯覚になるような、80年代の中学受験生の世界がそこにはあった。
たぶん、かつての義兄の部屋だろう。いや、まてよ?そんなわけないなあ。
年を考えてみても、この部屋はせいぜい9、10年前まで使われていたはずだし、そしてその頃の義兄は明らかに中学生ではない。にしては、とってもオールドファッションな、セピアの部屋。まあ、いいか。
ふと立派な(こちらももちろんオールドファッションです)本棚に目をやると、中には、ビシーーーッと、「世界文学全集」のオールセットが!
しまった、この手があった!カラマーゾフより、中上健次より、「棚の中にある世界文学全集」だよね、夏休みって。

この日もまた暑く、桂浜に行こうと思いつつ、ついに行かずじまい。
町中をうろうろして、お土産を買ったり、疲れたらお茶を飲んだり。
なんにも下調べをせずに来ちゃったし、案内してくれる人もいないものだから、時間を持て余し気味。
近いのは、美術館。なんと、大水木しげる展(京極夏彦&荒俣宏プロデュース)をやっているではないか!!今年、東京で見のがしたんだよ!これは見ねば。
電車の駅で、アーティストのにおい漂うバックパッカーもどきの人に電車の乗り方を聞かれ、わからないと言ったが、彼も美術館前で降りた。よく聞くと、美術館の特別展でトリック・アートを展示していて、彼はその作品のオーナーらしい。壊れたので直しにきたんです、って。どこからよ!

トップ写真は、橋の向こうに見える美術館。まるで武家屋敷というか、どこかの藩邸のよう。
かっこいかった。

大水木しげる展。楽しかったー。展示物の多くはもちろん漫画の原画。水木少年(作中では「水木さん」と自らを呼ぶ)の、生い立ち、戦争体験、腕をなくしてからのこと。
これまでテレビや本で語られてきた真実と、ほぼ同じなのに、このひとつの建物の中に閉じ込められた歴史の羅列をなぞると、まったく異なる水木さんに出会う。
水木さんの幼い頃から、結構な数の写真が残っていて、うちのおばあちゃんなんか、ほとんど写真ないのに、んまー、裕福だったのね。
鬼太郎よりも、妖怪ひとつひとつに釘付け。やっぱり、頭の中に住んでるんだよ、こんだけ描けるってことは。ぜったい、この世でも見てるんだよね。
じゅわーっとしみ出てくるような、妖気。そうか、だから手がないのか。
だって、人魂の天ぷらとかつくるかねー。カリッと、って。

売店では、水木しげるの大大ファンである、元同居人のさっちゃんのために、たんまりとお土産を買う。重い。


おー、水木さん_b0063997_1154316.jpg再び、市街に戻り、高知城へ。夕暮れの高知城。板垣退助さんよ、今わたしは自由だよ。

バス停で出会った、おばさんが、「近ごろはイーオンができて、駐車場もあるしねえ、みんな車でイーオンに行くの。めっきり町中から人が減った」と嘆いていたけど、そのイーオンに、良人が連れて行ってくれて、まあ、着替えのワイシャツを買っただけだけど、おばちゃんの顔が浮かんできて、ごめんね、車できてしまった。
おばちゃんは、バスの乗り方を教えてくれて、よさこいは見たかとか花火に行ったかとか、なぜ高知にいるのかとか、いろいろ聞いてきたけど、とっても明るくて、やさしくて、日中は誰も知り合いがいなくてひとりぼっちだったわたしは、冗談抜きで涙が出そうになった。
by azdrum | 2005-09-07 01:56 | 暮らし | Trackback | Comments(10)
Commented by pigboat at 2005-09-07 02:24 x
路面電車はどうでしたか??
話に聞くと、最近は車輌がのきなみ新しくなっているとか。

私は小学校のとき、いつもその電車に乗って「高知県民体育館」のスイミングスクールに通っていました。
「次ぎ止まるボタン」を誰よりも早く押すのを楽しみに、、

その頃の電車は、油がしみこんでいい色した板張りの床に朱のフェルト地のシートでした。
運賃は、子供50円だったけな?
Commented by azdrum at 2005-09-07 03:08
>pigboatさま
わたしも小さいとき、「次とまるボタン」が押したくてたまりませんでしたー!
妹と喧嘩になったりとか…。直前に誰かに押されて泣いたりとか・・・。

わたしがのった電車は、新しくないやつでしたよー。
まさに、油がしみ込んでいい色した板ばりの床、フェルト地のシート!!
あの路面電車、どこかの国(北欧だったかなあ。とにかくヨーロッパ)からもらったとか、交換したとか。ガイドに載っていました。
わたしは、出身が広島で、広島も路面電車が現役で活躍しているので、やっぱり、あのガタガタ感はしっくり来ますー。
電車ったらあれですよ!
さすがに運賃は、大幅にアップしておりました・・・。平成17年夏!
夫がいる間に、もう一度行ってみたいなー。
Commented by kcorin2 at 2005-09-07 07:53
高知といえば、日本一の夕日が見られる海岸ってなかったですか?
名前忘れちゃったんですけど・・・
いいなー、一度は行って見てみたい。四万十川にも・・・
Commented by kasumix at 2005-09-07 12:22
美術館らしくない外観ですね、これは東京で観るよりも雰囲気があってよかったのではないかしら?
棚にある世界文学全集は手にとって読んだのかしらん
Commented by azdrum at 2005-09-07 23:53
>kcorin2さま
日本一の夕日!!全然知らなんだ・・・・。見たかったなー。せっかくの夏。
今、「日本一の夕日」というキーワードで、ネット検索をしてみたのですが、
でるわでるわ。どこの土地も、そこの夕日が一番、てことなのかなあ。
四万十川は、わたしの夢でもあります!
Commented by azdrum at 2005-09-07 23:57
>kasumixさま
確かに、東京で見るよりは、雰囲気はあったように思います!
旅先で、水木しげる、っていうのも、良かったのかな。
なんだか、この美術館の中庭で舞台もやるみたいで、舞台がつくられていました。
けっこう、見かけによらずハイパーな美術館だったのですねー。
棚にある世界文学全集、眺めただけです、もちろん。
カラマーゾフでいっぱいいっぱいでした・・・・。
Commented by ayuice at 2005-09-08 01:21
世界文学全集を読む夏休み…いいなぁ。
大人になってわかる贅沢さ!!

私は四国は一瞬足を踏み入れた香川しか行ったことがありません。
まだまだ日本全国に知らない良い場所が沢山あるんだ…と考えると、人生楽しい!
Commented by azdrum at 2005-09-08 01:45
>ayuiceさま
まったくそうなんですよね。大人になってわかる贅沢さです。
だから大人になって良かったなあとも思うんですよね。
わたしたちは、幸運なことに、行きたいところを自分で選べます。
知らない場所に、足を運べる幸せ。大事にしたいものです。
Commented by tiki-tiki2005 at 2005-09-08 12:53
なんだか上の写真は横溝正史の世界だわ。
あたくしも実家に帰ると、百科事典とか、世界地図とか、普段じっくり見ないものを見ております。

Commented by azdrum at 2005-09-08 16:18
>tiki-tiki2005さま
ほんとだ、まさしく横溝正史。へーちゃんも、トヨエツもいませんでしたが。
稲妻を加工して入れたいぐらいです!

わたしの実家には、文学全集も百科事典も世界地図もないんですよ。
教養のまったく無い家で育ってしまいました。
かわりに妹の部屋にある漫画ばっかり読んでいます。


暮らし、ひとびと、食べ物、映画、この優先順位で日々を送り、その日記を書く。カテゴリは増やしません!太鼓の音には耳をすませ!                                 


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