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野村のスライダー、青春の一日

広陵が負けちゃった。
絶対負けないと思ってたのに!あの声援にやられたか。グランドスラムとは。
というか、決勝は帝京と広陵だと思ってた。負けるんなら帝京にって思ってたのになあ。
佐賀北ったら、粘るんだもの。

野村君、でもすごい良かった。びしびし決まるスライダー、わたしはあれに弱いのです。真面目に。
春は、それがことごとくめった打ちにされていたのに、闘志ってすごい。
落差の大きいゆるいカーブとか、外いっぱい使って低くきまる球とかにも胸が震える!
だからセンバツ優勝したときの西村君の球も好きだった。
ちなみに、現在巨人で活躍中の西村君、リリーフで出たら、わたしは必ずモノマネする!
広島弁のイントネーションに、前に出したあご。(これ言っちゃまずいかしら。)
「えっとー、投げて行くうちにー、コントロールがだんだん良くなってきたのがー、良かったと思います。バックを信じてー、投げました。」(センバツのヒーローインタビュー)

最後、野村君が打席に立ったとき、絶対三振だと思った。
追い込まれて外に投げられたら絶対振る、そりゃ振る。
青春。甲子園。

野村君は泣かなかった。
実況の人が「野村に涙はありませんねえ」と言ったら、解説の人が「泣く必要はありません」ってきっぱり言った。
それでわたしが泣いたけどさー。ほんとすみません。

決勝でラスト・バッターになったピッチャーということなら、去年の駒大苫小牧の田中君も(現在楽天のまーくんね)、とってもセクシーだった。
その敗れたゲーム・セットの瞬間に、ふと上を見てすこし笑った、あの田中君の横顔ときたら!
いやー現代の高校球児は負けてもセクシーなんだわね。
甲子園の土とか、できれば持ち帰る姿もあんまり見たくない。

いろいろと、思いだしたくないこととか、過去の失敗ってたくさんあるけど、甲子園の決勝戦で4点リードしてる8回の裏に5点与えてしまったピッチャーほどには、悔やんでることってないだろうと思う。
フィルダース・チョイスの1点が決勝点になったとか、スクイズに失敗したとか。

かつてわたしの通っていた高校は、県大会、ベスト8をかけて延長戦になり、キャッチャー・ボークで負けた。
キャッチャーのボークって!!
4番敬遠の最中、投球モーションに入る前にキャッチャーがボックスから出ちゃったんだね。
テイク・ワン・ベース。3塁ランナーが帰還でゲーム・セット。スタンドも静まり返ってた。
キャッチャーは2年生で、「自分のせいですみません」と言って、ずーっと目が赤かった。

松坂のいた横浜と、明徳義塾の準決勝なんてのもすでに伝説。
9回まで、松坂は外野を守ってて(4番を打っていて、投げてない)、明徳がリードしてた。
6対0で。6点差で9回ですよ。
それを、松坂がマウンドに上がったとたん、明徳がびびってしまい、9回裏の横浜の攻撃で、7点入れられてサヨナラ。あれすごかった。ぞっとした。
松坂を打てない、っていうのならわかるんだけど、松坂が出てきて、打たれるって意味が分からない!
それを考えると、広陵の負け方なんて、「普通」の範疇なのかもしれないなあ。
今年の広陵の初戦だって、駒大苫小牧のちょっとした隙(運の悪いエラー)があって、突破できた。

いろんな負け方がある。その負けをずっと引きずって行くんだと思う。いいとか悪いとかじゃなくて。
わたしは、人の心の、その部分、もう元には戻せないことがあってでもそれをずっと求め続けてしまうという、そういう部分に、とてもひきつけられてしまう。いつも。
それを抱えて、わたしも生きているんだと思う。
永遠に失ってしまったものや、手に入れられなかったものを、今でも、求めて、憧れているのだと思う。
たとえば青春。

けど(けど?)、野村君はチュートリアルの徳井とちょびっとかぶるよね?
佐賀北の満塁ホームランを打った副島君は、チュートリアル福田に見えたよ。
いや、そんなことより、野村君、カープにはいってくんないかなあ。

あと、最後にこんなこと書くとあれなんだけど、8回の、押し出しの四球、あれ、ストライクじゃない?あんまりだ!
by azdrum | 2007-08-22 18:59 | ひとびと | Trackback | Comments(10)
Commented by tiki-tiki2005 at 2007-08-22 23:27
もうねぇ、さっきまでの我が家の会話、そのまま再現って感じ!!
あのボールの判定での押し出しは、かな~りキビシイよねぇ。
選手以上に、審判があの球場の異様な雰囲気にのまれてたように思えますわ。
高校野球でのあの、もう圧倒的に佐賀北を後押しするような異様なムードの中で投げざるをえなかった野村投手。
あの中で冷静でいられなかった野村投手のその気持ちに、逆にキュンときてしまっている三十路オーバーの女がここに一人おります。

そんでもって、佐賀北の久保投手がはなわなら、広陵の野村投手はチュートの徳井や~~って盛り上がっていた我が家です(笑)
でも副島君の福田は、気が付かなかったなぁ。。。。
Commented by azdrum at 2007-08-23 00:20
>tiki-tikiさん
久保投手がはなわ!ほんとだ!
なーんかどっかで見たことあるなーって顔だったんですよね。

8回の、ボールの判定は、どれも微妙でしたよね・・。
こんなところで言っても詮のない話なのですが。
あの中でひとりで立ち向かうのって、想像できないくらい怖い!
テレビの前でさえ「うるさーい!静かにして!」ってくらいでしたもんね。
正直、広陵は応援がしょぼいなーと毎回思ってましたよー。若さがなかった!
これは、総合力(スタンドも含めた)の勝負だったんでしょうね。

それでも、野村君は、よく投げたと思う。負けたと思わなくていいと思ってます。
Commented by チョロ at 2007-08-26 01:18 x
はじめまして。

mixiの私の日記にお越し頂いたので、寄らせていただきました。

エース野村君をはじめ、広陵ナインの「敗者の態度」は、
それはそれは、とても素晴らしいものでした。なかなかお目
にかかれないものを観させていただきました。

それだけでなく、あれだけ球審に「嫌われ」ながら、これでも
かと、低めにコントロールし続けた野村君の精神的タフさ。
9回表に送りバントで一気に三塁を狙った林君の、最後
まで前を向いた、しかも高い次元で前を向いた闘争心。

プロの選手にも、いいお手本でした。

実は、私が気違いのように愛してやまぬプロ球団があり
まして、このチームの四番打者は、恐らく私が見た中で
最も人間的に偉大なプロ野球選手なのですが、彼も、
何を隠そう、広陵OBなのです。

広陵には、何かあるのでしょうか。

最後に、とてもリズムの良い素敵な文章をお書きになり
ます、読んでいて、とても心地が良かったです。
ありがとうございました。
Commented by tohko_h at 2007-08-26 19:06
昨年の決勝戦で、なんとなくハンカチ君を応援してたのに
最後のマー君の横顔にドキっとして楽天の試合まで
チェックするようになってしまいました・・・私も「高校生(しかも
彼は11月生まれなのであの瞬間はまだたったの17歳)が
セクシーって…」とびっくりしたものです。

今回の野村くんのこらえている感じ、冷静な投げっぷりにも
同じように見とれておりました。あの1球はねー、皆で
「入った!」と会社で言いながら見てたあとの押し出し判定で
なんていっていいかわかんなくなりました。
Commented by azdrum at 2007-08-28 02:20
>チョロさま
お返事遅くなりました。

某チームの四番。それは、元某赤ヘルのK本選手ですね!
わたしも大好きです。他チームに行っても尚、活躍を楽しみにしています。
移籍後に、広島市民球場で初打席を迎えた時のカープファンのK本コール、今でも忘れられません。
愛すべき四番バッターです。

わたしは、敗れて去る姿に潔さを求めるつもりは毛頭ないのですが、できるだけタフであろうとする彼等の努力の結果があの笑顔なのかなと思うと、胸が詰まりました。

チョロさんの日記の、「コーナーいっぱいに投げ込むたった1球のベストピッチを完成させるために、投手はいったいどれほどの精進を積み重ねてきたのか。」というところが何度も頭に浮かんできます。
(引用失礼いたします。)

あの3塁への走塁にはわたしも泣きました。
ナイス・ラン!と言って監督はベンチに迎えたそうですね。さらに涙です。
Commented by azdrum at 2007-08-28 02:22
>tohkoさま
ご無沙汰しております!
ですよね!あの田中君は衝撃でした・・。
斉藤君のあのクールさと対称的に、田中君はずっと負けん気の強いというか、闘志むき出しのピッチングをしていたので、見ている間は正直ちょっと暑苦しいなあと思っていたんですよ。
けど、あの顔。しびれました!あんな人いない!

楽天に入ってからも、ますます男らしいですねえ。
ビンチをしのいだときの雄叫びなんか、もう、なんなんですかね。
木訥な感じがするからそのギャップにまたひかれるんでしょうかね。

野村君は本当に広陵野球部が好きなんだなあと思います。
新しく始まる人生が、すばらしいものであるよう、心から祈りたいです。
Commented by tohko_h at 2007-08-28 23:50
しつこくレスを重ねてごめんなさい!
高校野球雑誌をちらっと読んだら、広陵の野球部の
生徒たちが「尊敬する人物は?」とインタビューされて
先生(監督)と答えてる比率が、全体(出場校全体)から見て
凄く高かったのが印象的でした。いいチームだったんだろうな。
私も、野村くんの、広陵卒業後の野球も見ていたい、と
思いました。

田中くん、確かに普段は子供っぽいところもあるんだけど、
プロの打者相手にも雄たけびで気持ちで向かって勝負してる
ところが本当に魅力的だしどんどん華も出てきましたね。
今週こそ10勝目が見たい!!
Commented by azdrum at 2007-08-29 20:31
>tohkoさま
いえいえ、嬉しいです!大歓迎です。
広陵の監督って、昔から、選手の事を「子どもたち」って言うんですよ。
すごく距離が近いんだと思います。

広島のローカル番組で、監督を胴上げしてました。
一番したい事は?という問いに、「監督を胴上げすること!」
中井監督は、「ほんとにかわいい子どもたちです・・」と言ってました。

田中君は、そうですね、「子どもっぽい」っていう表現がぴったりかもしれない!!ほんとだ!
去年の夏の決勝は、それを感じてました。たしかに。
いやいや女の子っていうのは(あえて女の子と私たちを呼びましょう)そういうのに弱いもんですね。
たぶん永遠に弱いです。子どもっぽさと大人の顔をいい塩梅で出してこられたらもう。
Commented by チョロ at 2007-09-06 01:15 x
時期外れのご返答をば、少々。

勝負ですから、勝つか、負けるかですものね。
藤島大という人が書いた一節が、今でも忘れられません。

 -勝者には、あらん限りの栄光と祝福を。
  そして、敗者には何もやるな。

だったと記憶しています。

結びの一句の余韻がね、私の心を、ずっとつかんで
放さないのです。

勝者たらんと、もがき苦しむ両者のうち一方は、必ず敗者
となる。その残酷な一瞬を、私は見たい。

敗北って、実はとても難しいと思うんです。
ただ試合に負けるだけでは、敗北じゃない。
勝者たるべき力と、プロセスと、心があって、それでも、
なお負ける。不条理です、勝負は。

報われないところに、本当の意味での敗北がある。
そして、敗者は、やっぱり、何ももらえないんです。
だから、今年の夏の、最後の試合は忘れられないですね。

追伸:
本当に、偉大な選手が来てくれて、言葉では言い尽くせぬ
ほど感謝しています。40歳とは言わず、70歳でも、80歳
でも、四番を張ってもらいたいです。


Commented by azdrum at 2007-09-06 09:11
>チョロさま
>勝者たるべき力と、プロセスと、心があって、それでも、なお負ける。

チョロさんのおっしゃった「敗者の態度」というのは、こういうところにあったのですね。
ただ試合に負けたのではない、勝者たらんともがき、敗れた。
なにももらえなかったことを、それでも受け入れる、その敗者の精神力!

そうですね、敗者を押しつぶすのは、負けたことじゃなく、報われなかった気持ちであり、時間であり、自分なのだろうと思います。
特に、明日のない勝負に挑んだ場合には。
そして去年の決勝のことも思いだして、とても悲しく、しかし清々しい気持ちになりました。


暮らし、ひとびと、食べ物、映画、この優先順位で日々を送り、その日記を書く。カテゴリは増やしません!太鼓の音には耳をすませ!                                 


by azdrum